余命1ヶ月の花嫁
いま自分にできることをやろう
余命1ヶ月の花嫁は、23歳で乳がんが見つかり24歳で乳がんが再発・亡くなった長島千恵さんについて書かれたドキュメンタリー。千恵さんの要望をうけて取材したTBSの報道番組「イブニング・ファイブ」が千恵さんの患者としての思い、普通の女性としての思いと彼女によりそった家族・恋人・友人の思いやつながりをまとめた本です。
明るく綴ったメール
余命1ヶ月の花嫁で最初に強烈に感じたものは千恵さん、恋人と友人たちの明るさでした。
にゃはーん
彼女が最初のがん告知の半年後、手術の直前に心境を綴ったブログの最後に添えられた一言。私はこの一言に強く心を動かされました。「なんでここでこんな言葉を最後に書けるの?」と。
辛さをごまかすためのふざけた言葉じゃないと直感しました。ブログを読む友人たちへの思いやりや自分を奮い立たせるための言葉だと思いました。私より10歳も若いのに、強いな。。。
何度も読み返しては「にゃはーん」やその他の彼女の愉快な言葉に目がとまり胸が詰まりました。それはこんなに明るい女性ががんで死ぬなんてという同情ではありません。辛いときこそ明るくいる方法を示してくれたことに感謝の気持ちでいっぱいになったからです。
辛いときに辛い顔をして辛い気持ちを表に出すことは自然なことだし大切なことです。千恵さんも辛い気持ちを漏らしています。ただ、辛い気持ちを表に出すことに一区切りつくたびに明るい自分でいようとしていた気がしました。それが千恵さんにとって簡単だったか難しかったかわかりませんが、私には難しいことでした。だから彼女の明るい言葉がとても心に残りました。そして今も思い出しては彼女の真似をして明るくいようと努力しています。
後悔を背負う覚悟と決意
医師は千恵さんの余命を父・貞士さん、恋人・太郎さんと母親代わり・加代子さんに告げていました。千恵さん自身はそのことを「聞きたくない」といい、三人は最後まで余命について語らず治るからと言いつづけました。
ものすごい葛藤とむきあう毎日。その気持ちは本の中に綴られています。あと1ヶ月で死ぬって知っていたらやっておきたいことや言っておきたいことがあるんじゃないか。なのに本人に隠したままで本当にいいのか。千恵さんのためになっているのか。
言いたかったことがあったかもってのは私らが背負いつづけていけばいい
加代子さんが太郎さんに言いました。そう決めて宣言した加代子さんの覚悟が私の脳裏に焼きつきました。正しい答えを探したんじゃない。千恵さんの「聞きたくない」という言葉の通りにしてあげようという気持ち。後悔するかもしれないいけど、千恵さんの言葉が千恵さんの本心だと信じてその言葉を叶えてあげようと決めた覚悟。
自分で決めるっていうのはこういうことなんだ、と静かに心の中で思いました。
友人の行動
友人の一人・桃子さんの行動も心に残りました。
桃子さんは千恵さんを何度も見舞いますが、千恵さんは健康な桃子さんを見て落ち込み、桃子さん自身も千恵んが落ち込むのではないかという葛藤を抱えていました。
元気な友達がお見舞いに行くことが千恵さんにとってはストレスになるのではないか。「なんで私だけが苦しむの・・・・・」と思うんじゃないか。
「たまにそいうふうに思っちゃうんだよね、正直。でも来てくれることのほうが嬉しいから、来てほしい」
病状がいいときに二人がこんな風に話し合っています。だけどある日千恵さんは病室を訪ねた桃子さんに会いたくないと面会を拒みます。亡くなる10日ほどまえでしょうか。
それでも桃子さんは毎日病院に通い続けました。私だったら行かないな、、、患者さんのストレスになるから・・・と思いました。
千恵ちゃんに会えなくて本当に寂しいです。毎日大変なのにそれでも私たちをいつも迎え入れてくれたことには本当に感謝しています。何もしてあげられないけど、千恵ちゃんに会いたいと毎日思っています。
病院に通い続けて1週間後に桃子さんが千恵さんに宛てた手紙です。私はこの言葉に泣きました。自分がこの手紙を受け取ったような気持ちで泣きました。嬉しくて。
患者さんのストレスになるから元気な自分の姿を見せないという考えは間違っていないと思います。だけど桃子さんのように千恵さんに気持ちをぶつけていくことも間違ってないと思いました。桃子さんが千恵さんに会いたい気持ちをぶつけたから、千恵さんは桃子さんと一緒になることができたと思うし、二人が一緒になることで千恵さんの孤独が癒されたんだと思うから。桃子さんの行動は二人なりの支えあい方だんだろうと思ったからです。やり方は人の数だけあるんですね。。。
迷いをふりきれるようになりました
まとまりの悪い感想になってすみません。本当にこの本を読んで感じたことが多くてうまくまとめることができません。
若くて愛らしい女性ががんで死んだのだから元気な自分はもっとしっかり生きなければというだけの本ではないんです。なんと書けばいいのか、、、がんと宣告されても一人の女性として生きようとした千恵さんの明るさや意思の強さに励まされてほしい。千恵さんを励ましているようで実は自分が励まされていたんだと振りかえる友人たちの深い慈愛の気持ちを感じてほしい。癒されてほしいと思った本なんです。
私はこの本を読んで、今日の自分にできることを行動していこうと思いました。ゴチャゴチャ悩んで立ち止まる時間を少なくしてシンプルに行動していこうと思いました。そして実際に日々の暮しに変化を感じています。そのお手本が千恵さんや友人の行動です。
余命1ヶ月の花嫁は身近な本です。がんとは関係のない暮しをしている人にも役立つ勇気が詰まった本なので一人でも多くの人に読んでほしいと思いました。
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